本:今でも通用する「超マシン誕生」

「超マシン誕生」コンピュータ野郎たちの540日 トレイシー・キダー著 風間禎三郎訳 ダイヤモンド社
 学生時代に古本屋で見つけて買った。これを読んで以来、大規模なコンピュータのハードを作りたいと思い、就職した会社のハード開発部門に配属された。念じれば通じるもんだな。

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 データゼネラル社のエクリプス後継機、イーグルの開発についてのノンフィクション。ライバル機はDECのVAX11である。TTL主体で設計されている時代だが、ASIC主流の現代でも通じる内容。
 16ビットマシンから32ビットマシンへの拡張についての互換性重視という方針に対し、反発するアーキテクト。VAX11は過去との互換性を犠牲にすることによって自由な命令実装を可能にしたが、面白いことにVAX11をこっそりとリバース・エンジニアリングしたプロジェクトリーダーのトム・ウェストは「VAXは複雑すぎる」と言っている。
 方針が決まれば一気に実装設計に入る。この頃のマシンはマイクロコードを持っているのでハード屋さんとファーム屋さんが一体となって設計している。
 後半はデバックの話。遅々として進まないデバックの状況には共感を覚える。耐えられなくなって辞めていく人々。デバックの様子はかなり詳細に記述されている。
 現在はいくらツールや設計手法やLSIが進化したとはいえ、内容はこれと変わらない。その点では何かを開発するということは基本的には変わらないのではないだろうか。大規模開発の様子を知りたい人にお勧めしたい本。類似の本にソフトの開発だけど「闘うプログラマー」があるね。これも面白い。

 開発終了後はコード名が外れて製品名が与えられ販売されるわけだが、広告には見たこともないような営業部門の人などが製品を語っている。開発のリーダーすら出てはいない。すでにマシンは我々の手を離れ、チームは再編され次のマシンの検討にあたる。この辺も現在とそっくりだ。

 邦訳はすでに絶版だが、原著はまだ出版されている。
超マシン誕生―コンピュータ野郎たちの540日 (1982年)
超マシン誕生―コンピュータ野郎たちの540日 (1982年)風間 禎三郎

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この記事へのコメント

2010年07月01日 13:12
日経BPから新訳・新装で復刊されましたね。

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