X86-FILES 第一話:ロンギュレーターの恐怖

「電卓の計算結果って疑ったことあるかい?」
「いいえ」
「日本製の電卓なら信用できる?」
「ええ」
「では百円ショップで売ってる電卓は?」
「ちょっと怪しいかな」
「いや、百円ショップの電卓は充分に枯れた計算機用のLSIを使っているはずだから問題無いだろう。かえって新しく設計された電卓の方が信用ならない」
「その感覚、わからないけど」
「例えばHP-15C限定版などHP電卓の最近のものはARMによるエミュレーションで作られてる。つまりソフトウェアだ。検証はしっかりされているだろうけど、結局はメーカーの信用で買っているようなものだ。それにスマートフォンで提供される電卓アプリ、どれだけ信用できるだろうか」
「?」
「そろばんだと珠の動きで確認できるだろう、遅いけど。でも電卓だと見えない。車でリコールが発生して不具合が修正されるのは確認が簡単だからだ。エンジンが動かなくなるとか。でも電卓は見えない。0~99999999までと0~99999999までを加減乗除してすべての組み合わせを確認できるか?できないよね」
「……」
「ああ、わかってる。加算器なんかの回路は規則正しく設計されているのでどこかの桁だけ繰り上がりが間違うようなことはないだろうよ」
「実際そんなことあったの?」
「有名なのはPentiumの除算器にバグがあった話で、この時はPentiumの修正が済むまでIBMがPentium搭載パソコンの出荷を停止した」(コンピュータアーキテクチャの話 Pentiumの割り算器のバグ)
「ふーん」
「実際はほとんど影響はなかったと言われている。当時IBMはPowerPCを推してたからここぞとばかりに攻撃したんだろうね。ロータス123などはこれに対応するパッチを出した」
「ロータスって?」
「エクセルが主流になる前の表計算……いやそんなことはいい。問題は電卓だ。この計算結果をみな無条件に信じている。学校でも平方根の計算は電卓を使えと教えるらしい。昔は数表だった。数表はすべて見える。だから誤りがあっても見つけることができる。だけど、電卓は見えない。信じるしかないんだ」
「つまり、あなただけがこの真実に気づいて、警鐘を鳴らそうとしているのね。でも、今何か起きてる?そんなことがあったとしたら、すでに顕在化してるんじゃないの?」
「でも、もし計算が間違ったまま誰も気づかずに設計されたロケットが作られて、何度打ち上げても失敗するとしたら、これはエイリアンの」
「……モルダー、あなた疲れてるのよ」




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